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コロナ禍の「おウチ時間」を充実させるオススメの一冊

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コロナ禍にあって、注目されている吉村昭著『雪の花』


こんにちは、整体師のkaishinです。

本日はいつもと趣向を変えて、本の紹介をしたいと思います。

 

コロナ禍にあって、過去のコンテンツが改めて注目されるということが起こっていますよね。たとえば映画では『アウトブレイク』や『コンテイジョン』。ともに新種のウイルスがパンデミックを起こすという内容です。前者を観たのはかれこれ20年以上前のことで細部を忘れ、印象が薄まってしまったのですが、最近観た『コンテイジョン』はなかなか興味深い作品でした。ウイルスの拡散による人や社会のパニックが淡々と、リアルに描かれており、今回のコロナ禍を予見したかのような物語になっています。過去に観たけど、コロナ禍に身を置いたいま、改めて観なおしてみるという方もおられるようですね。

 

同じような意味で、コロナ禍になって注目された文芸作品があります。

それは吉村昭氏著の『雪の花』という作品で、実在の人物である笠原良策を描いたノンフィクション小説です。笠原良策は江戸時代末期の福井藩に生まれた町医で、当時猛威を振るっていていた天然痘」の予防接種を、自藩や近隣諸藩に広めた人物。当時、西洋で行われていた「種痘」による天然痘の予防法を広めました。

 

天然痘ウイルスは、「人類が根絶に成功した最初の病原体」ともいわれていますが、そうしたウイルスと命がけで戦った笠原良策の生涯が、このコロナ禍のいま注目されているのです。

 

さて、その種痘のやり方ですが・・・※以下、ネタばれありなのでご注意を!

牛が罹るウイルス性伝染病の「牛痘(ぎゅうとう)」という病気があります。簡単にいうと牛が罹る天然痘です。その病気の痘苗(牛痘に罹った牛や人の、かさぶたや膿)などを、人の皮膚(を傷つけて皮内)に接触させることで牛痘を人に感染させ、それによって天然痘に対する免疫を獲得させる。それが種痘の仕方です。牛痘は人にもうつりますが、症状はごく軽くてすむのだそうです。

 

死の病から人を救いたいという思いから、彼は私財を投げうち、自藩や日本に種痘を広げる事業に邁進します。恩師らとともに種痘を京都で成功させた笠原良策は、痘苗を自藩まで持ち帰るのですが、その方法が凄まじい。牛痘に感染させた子どもを背負った親を含めて、11人を連れて険しい雪山を越え、途中で他の子どもに痘苗を接種してリレーさせながら、痘苗を絶やさぬようにして運びます。猛吹雪にあい、ときには2メートルを超える雪を踏み越え、凍りついた米を食べながら、六日間で二百余キロの雪山を踏破するその情熱と使命感に、心を揺さぶられました。

 

しかしそのように命がけで運んだ痘苗ですが、接種を試みようにも庶民は「異国の妖術、邪法」として種痘を激しく恐れ、漢方を最上と考える藩医からは妨害されます。やがて笠原良策は藩内の人々から忌み嫌われ、皆から石を投げられるほどの逆境に陥ってしまいます。

 

その後、藩の後押しもあって笠原良策彼の苦労は報われるのですが、彼の一途な情熱と信念を思うと、心が熱くなりました

 

ご興味があれば、ぜひご一読を。コロナ禍で外出しにくい今日、「上質なおウチ時間」を過ごすための、良いお共になる一冊だと思います

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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